今こそ考えてほしい「自分で自分の健康を守る」ということ
新型コロナウイルスの蔓延でがなかなか収束しない今日この頃。
「緊急事態宣言」がないとみんなが外出するじゃない!というネット上でのお声もちらほらと見かけます。
そこで私が疑問に思うんです。
「どうしてみんな緊急事態宣言がでないと出かけるのをやめないのかなあ」と。
普段から薬局でインフルエンザなどの感染症の患者さんに対応しているときに出くわすシチュエーションがあります。
「インフルエンザワクチン、別にうってない。薬があるから。」
薬剤師→いえいえ、薬があるといってもいつも効くとは限りませんよ~。インフルエンザなんて型も変わるし。かかる可能性があるならワクチン接種しておかないと・・・
「風邪をひいても病院で薬をもらったら治るから」
薬剤師→いやいや、風邪をひいたら普通に風邪薬を飲んで家で休むのが鉄則。病院にいって薬を飲んで遊びにいったらだめですよ~
「ちょっと熱があるけど、薬飲んだら下がるから外出しても大丈夫」
薬剤師→いえいえ、熱があるというのは体がウイルス感染や細菌の感染に反応している可能性があるんです。薬で熱を下げても、感染源はなくならないから外出してはだめですよ~
こういうケースは全国どこでも、多くの薬剤師がよく遭遇しています。
「医療崩壊」という言葉は、私たち医療業種間では以前から使われていた言葉です。
それは、日本国民が風邪や花粉症、ちょっとした怪我や体調不良ですぐに病院にかかってばかりいたら、医療費が底をつき、医療職種も対応できなくなり、医療崩壊をおこす・・・という見解が出ていたからです。
医療保険や、医療制度には限界があります。
「国が自分の健康を守ってくれる」のではありません。
医療保険は
「緊急に高度な医療や長期にわたる治療が必要となったときに、治療費の負担が大きく生活できないあるいは、負担が大きくてその治療が受けられないということがないように、保険で経済的なサポートをしてくれる」ものです。
交通事故や自賠責の保険と性質は同じです。
でも、「健康保険でお金を払っているから使わなきゃ損」とでもいうかのように、ちょっとした症状で病院に行く人が本当に増えました。
虫刺され、目のものもらい、風邪、怪我、花粉症、捻挫、打撲、肩こり、便秘、下痢、胃もたれ、消化不良。。。。などなど。
確かに、大きな病気が潜んでいることもあります。
でも、まずは市販薬で様子を見て、症状の改善がなければ病院に行く・・・というごく普通のことが、今の日本人は本当にできなくなっていると思います。
「自分の体を自分で理解する」
「自分で考えて、健康管理をする」
ということができなくなっているのではないかなと考えてしまいます。
自粛も、自分の頭で「不要不急かどうか」を考えなくてはなりません。他人から「それ不要不急だよ」といわれるのを待っててはいけないんです。
「こういう時期だから実家に帰るのやめようか」
「こういう時期だからクラスのみんなで集まるのやめとこうよ」
「こういう時期だから、卒業旅行も残念だけどやめとこうよ。また、来年みんなであつまればいいよ」
「こういう時期だから、仕事が終わったらまっすぐ家に帰ろう」
そういう思考回路が全くなくなってしまっているのでしょうか。
「緊急事態宣言してもらわないと外出をやめるのができない」のは、ルールや規制で制限してもらわないと自分の行動を制限することが出ないのでしょうか。
セルフメディケーションという言葉があります。
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることです」(日本薬剤師会)
今だからこそ、このセルフメディケーションの大切さを一般の皆さんに知っていただき、
病院に行くべきか市販薬でいけるか迷ったら専門家のいる薬局で相談する。
自分の健康を自分で守るという意識を持っていただけたらと願う今日この頃です。